2026年8月18日公開 / RentGo編集部

レンタカー許可の取り方|許可基準・必要書類・申請から許可証交付までの実務

運輸支局の窓口に提出するレンタカー許可申請書類一式を机の上で確認しているイメージ

レンタカー事業は、車と駐車場を用意すれば始められる事業ではありません。自家用自動車を業として有償で貸し渡すには、道路運送法第80条第1項にもとづく許可が必要です。この許可は俗に「レンタカー許可」「自家用自動車有償貸渡業許可」と呼ばれ、申請先は運輸支局、審査の観点と許可に付される条件は各運輸支局の公示に書かれています。本記事では、許可基準・必要書類・申請から許可証の交付までの流れを、条文と公示にもとづいて整理します。

1. レンタカー許可とは何か、許可が不要になるのはどんな場合か

根拠は道路運送法第80条第1項です。条文は「自家用自動車は、国土交通大臣の許可を受けなければ、業として有償で貸し渡してはならない。ただし、その借受人が当該自家用自動車の使用者である場合は、この限りでない。」と定めています。前段が許可の必要性、後段のただし書きが例外です。

このただし書きが、レンタカーとリースを分ける線になります。借受人が車検証上の使用者として登録される契約であれば、ただし書きに該当して許可は不要です。一方、車両の使用者は自社のまま、借受人に短期間貸し渡して料金を受け取る形態が、許可の必要なレンタカーです。マイカーを空いている日に他人へ有償で貸すサービスも、業として反復継続する形であれば、この許可の対象になります。

許可を受けずに貸し渡した場合の扱いも条文にあります。第98条第17号により100万円以下の罰金の対象となり、さらに第81条第1項第4号により、6ヶ月以内の期間を定めて自家用自動車の使用を制限または禁止されることがあります。罰金だけでなく、車そのものを使えなくされる余地があるということです。

一方で、第80条第2項は「国土交通大臣は、自家用自動車の貸渡しの態様が自動車運送事業の経営に類似していると認める場合を除くほか、前項の許可をしなければならない」と定めています。行政側の裁量は広くありません。運転手を付けて貸すような運送事業まがいの形態でなく、基準を満たしていれば許可される建て付けです。難関試験のような性質のものではなく、書類を要件どおり揃える手続きだと考えて構いません。

2. 許可基準(欠格事由・類似行為・保険)

許可の取扱いは、各運輸支局が公示という形で公表しています。ここでは北陸信越運輸局富山運輸支局の公示(富運支公示第1号、令和4年6月1日)を例に見ていきます。同種の公示は他の運輸支局でも出されており、審査の観点は次の3つに整理されています。

2-1. 欠格事由に該当しないこと

申請者およびその役員が、次のいずれにも当たらないことが求められます。

  • 1年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない
  • 旅客・貨物の自動車運送事業または自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しを受け、取消しの日から2年を経過していない
  • 取消処分に係る行政手続法第15条の通知があった日から処分の決定までの間に、相当の理由なく事業や貸渡しの廃止を届け出て、その届出の日から2年を経過していない
  • 監査が行われた日から取消処分に係る聴聞決定予定日までの間に、相当の理由なく廃止を届け出て、その届出の日から2年を経過していない
  • 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者で、その法定代理人が上記のいずれかに該当する
  • 法人であって、その役員(名称を問わず同等以上の職権または支配力を有する者を含む)が上記のいずれかに該当する

役員まで見られる点に注意してください。法人で申請する場合、代表者本人に問題がなくても、役員の一人が該当すれば許可されません。申請書には、欠格事由に該当しない旨の確認書を添付します。

2-2. 自動車運送事業類似行為による処分がないこと

申請者およびその役員が、申請日の2年前以降に自動車運送事業経営類似行為により処分を受けていないことも基準に含まれます。ここでいう類似行為とは、貸渡しに付随して運転者を紹介・斡旋するなど、実質的に運送事業を営んでいる状態を指します。許可後の条件にも、運転者の労務供給を受けられない旨を借受人に明示する義務が置かれています。

2-3. 保険の補償額を満たすこと

貸渡自動車は、事故に備えて十分な補償を行いうる自動車保険に加入していることが必要です。公示に金額が明記されています。

  • 対人保険: 1人当たり8,000万円以上
  • 対物保険: 1件当たり200万円以上
  • 搭乗者保険(搭乗者が補償対象となる人身傷害保険を含む): 1人当たり500万円以上

対人・対物とも無制限で契約する事業者が多いため、実務上この下限で詰まることは多くありません。ただし対物200万円以上という下限は、事故の実額から見れば低い水準です。補償の設計そのものは レンタカー保険の選び方 で別途整理しています。許可基準を満たすことと、事業として耐えられる補償であることは別の問題だと考えてください。

3. 申請の必要書類と貸渡しの実施計画

申請の中心になるのは自家用自動車貸渡許可申請書です。道路運送法施行規則第52条により、記載事項は次の4つと定められています。

  • 貸渡人の氏名または名称および住所、法人にあってはその代表者の氏名
  • 貸渡人の事務所の名称および所在地
  • 貸渡しの実施計画
  • 貸渡しを必要とする理由

この申請書に、公示で定められた5種類の書類を添付します。

  • 貸渡料金および貸渡約款を記載した書類
  • 会社登記簿謄本(個人にあっては住民票、新設予定の法人にあっては発起人名簿)
  • 申請者(法人にあっては役員、新法人にあっては発起人)の欠格事由に該当しない旨の確認書
  • 事務所別車種別配置車両数一覧表
  • 貸渡しの実施計画

このうち作成に時間がかかるのが貸渡しの実施計画です。公示は記載すべき事項を具体的に挙げています。自動車運送事業類似行為の防止を図るための体制・計画として、事務所ごとに配置する責任者と、従業員への指導・研修の計画。類似行為の防止を図るための貸渡しの実施方法。その他貸渡しの適正化を図るための計画として、保険の加入状況・加入計画と、整備管理者(整備責任者)の配置計画です。

整備管理者の配置計画が申請段階で問われる点は見落とされがちです。整備管理者の選任義務そのものは、使用の本拠ごとに乗用車で10台以上といった台数の区分で決まりますが、選任義務がない規模でも、誰が車両の状態を見るのかは申請時に書くことになります。台数と資格要件は レンタカーの整備管理と法定点検の実務 にまとめています。

レンタカー型カーシェアリング(会員制により特定の借受人に対して業として貸し渡す形態)を行う場合は、さらに車名・型式、保管場所(デポジット)の所在地と配置図、保管場所を管理する事務所の所在地、IT等を活用した車両状況の把握方法、車両とエンジンキー等の管理・貸し出し方法、会員規約または契約書の添付が求められます。

なお、自家用マイクロバス(乗車定員11人以上29人以下かつ車両長7m以下)の貸渡しには特例があります。現在マイクロバスの貸渡しを行っていない事業者は、他車種でのレンタカー事業について2年以上の経営実績があり、かつ届出前2年間に貸渡自動車の使用禁止以上の処分を受けていないことが要件です。開業と同時にマイクロバスを扱うことはできない、ということになります。

4. 申請から許可、車両登録までの流れ

申請先は、主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局長です。沖縄総合事務局が公開している手引きでは、申請書は2部(1部は申請者控え)を持参または郵送するものとされ、郵送の場合は返信用封筒の同封を求めています。提出部数や様式は支局によって案内が異なるため、管轄支局のページを確認してください。

同じ手引きでは、申請後の流れが次のように示されています。

  • 許可申請(標準処理期間1ヶ月を経て、許可書およびレンタカー事業者証明書が交付される)
  • 登録免許税9万円の納付(許可日から1ヶ月以内)と、各種帳簿等の作成
  • 自動車(レンタカー)の登録(許可日から4ヶ月以内)。登録にはレンタカー事業者証明書、手数料納付書、車台番号が確認できる車検証等が必要

ここで押さえておきたいのは、許可日を起点に2つの期限が動き出すことです。登録免許税は1ヶ月以内、車両の登録は4ヶ月以内。車両の調達が許可の後になる場合、4ヶ月以内という枠の中で仕入れ・名義変更・登録を終える必要があります。標準処理期間は運輸支局によって異なる場合があるため、開業日から逆算するときは管轄支局に確認しておくと安全です。

登録が済むと、いわゆる「わナンバー」になります。軽自動車では「れ」が使われる場合もあります。この登録には許可を受けた事業者であることを示すレンタカー事業者証明書が要るため、許可前に車両をレンタカーとして登録することはできません。車両の仕入れそのものの手順は 中古車を仕入れて貸し出すまでの実務 で扱っています。

開業全体の段取り、初期費用の目安、開業後の運用体制までを俯瞰したい場合は レンタカー開業ガイド を先に読んでおくと、許可手続きが全体のどこに位置するのかが見えます。

5. 許可に付される条件を読み落とさない

許可は無条件では出ません。公示は許可に付される条件を列挙しており、これが日々の運営ルールそのものになります。実務で効くものを挙げます。

5-1. 貸せる車種と貸せない車種

貸渡自動車の車種区分は、自家用乗用車、自家用マイクロバス、自家用貨物自動車、特種用途自動車、二輪車の5つです。自家用バス(乗車定員30人以上または車両長7mを超える車両)と霊柩車の貸渡しは行ってはならないと明記されています。大型バスやキャンピング用途の大型車両を検討している場合は、この車種区分に収まるかを先に確認してください。

5-2. 貸渡簿は2年間保存

借受人の氏名・名称・住所、運転者の氏名・住所・運転免許の種類と免許証番号、貸渡自動車の登録番号または車両番号、貸渡日時と時間、貸渡事務所と返還事務所、走行キロ数、貸渡料金、事故に関する事項を記載した貸渡簿を備え、貸渡しの終了日から2年間保存しなければなりません。公示は書面または電磁的記録のいずれでもよいとしています。紙のバインダーで綴じる義務はなく、システム上の記録でも要件を満たせるということです。

5-3. 貸渡証の交付と携行

借受人には貸渡証を交付し、運転者に携行させるよう指示しなければなりません。貸渡証には、運行中は必ず携帯し警察官等の請求があれば呈示する旨、運転者の労務供給を受けられない旨、事故・故障が発生した場合の処置と連絡先、そして貸渡期間が2日以上となる場合には日常点検を借受人が実施することとなる旨を記載します。ひな形を一度作って以来見直していない場合は、この4点が入っているかを確認してください。

5-4. 料金と約款の明示、名義貸しの禁止

貸渡料金および貸渡約款は、事務所での掲示、ウェブサイトへの掲載、書面(電子メール等の電磁的方法を含む)の交付のいずれかの方法で借受人に明示する必要があります。自社の予約サイトを持っている場合は、料金ページと約款ページを常設しておくのが最も手間がかかりません。

また、貸渡しのために自己の名義を他人に利用させてはならないとされています。他社に名義を貸す形での運営はできません。加えて、貸渡自動車が配置事務所にあるかどうかにかかわらず、配置事務所の従業員等が貸渡し状況と整備状況等を把握し適切に管理することも条件です。IT等の活用により本社等で車両の状況を把握している場合も、この把握に含まれるとされています。これらの条件に違反したときは、貸渡自動車の使用を禁止し、または許可を取り消すことがあると明記されています。

6. 許可を取ったあとに必要な届出と報告

許可には更新の定めがありません。その代わり、変更のたびに届出が発生します。遅滞なく届け出るのは、貸渡人の氏名または名称および住所、法人の役員、貸渡料金および貸渡約款、貸渡しの廃止です。配置事務所の名称や所在地の変更(増設を含む)は、あらかじめ届け出る必要があります。事前と事後で扱いが分かれる点に注意してください。

料金改定のたびに届出が要る、という点は運用に効きます。繁忙期料金を細かく動かす設計にする場合、料金表の構造そのものを届出しやすい形にしておくと後が楽です。値付けの考え方は 料金設定とダイナミックプライシング で扱っています。

レンタカー型カーシェアリングを始めるときも、あらかじめ配置事務所の所在地を管轄する運輸支局長への届出が必要です。既存の許可のまま無届けで会員制の時間貸しに広げることはできません。

そして毎年の義務が、貸渡実績報告書です。前年4月1日から3月31日までの期間に係る貸渡実績報告書(様式1)と、3月31日時点の事務所別車種別配置車両数一覧表(様式2)を、毎年5月31日までに提出しなければなりません。沖縄総合事務局の手引きでは、提出時期の事前通知はしていないと明記されています。書き方と集計の考え方は 貸渡実績報告書の書き方と提出実務 にまとめました。

7. 許可条件を満たす記録を、日々の運用の中で残す

許可を取るまでの作業は一度きりですが、許可条件は事業を続ける限り毎日効き続けます。貸渡簿を2年間保存し、貸渡証を交付し、毎年5月31日までに実績を報告する。この3つは、どれも日々の貸渡しの記録から作られます。

現場で破綻しやすいのは、予約の管理と記録の保存が別の場所にあるときです。予約はカレンダーやチャット、貸渡簿は別のエクセル、実績報告は年に一度それらを見返して手作業で集計する。この形だと、報告の時期に1年分をさかのぼる作業が発生します。予約を受けた時点の記録がそのまま貸渡しの記録になっていれば、この手戻りは起きません。

RentGoは、予約・車両・顧客の情報を1つの画面で管理し、蓄積した予約データから貸渡実績報告書(様式1・様式2)をExcelで出力できます。年に一度の報告のために別の台帳を作り直す必要はありません。エクセル運用から移す場合の考え方は Excel管理の限界 で整理しています。

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8. よくある質問

レンタカーの許可はどこに申請しますか。

主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局長あてに申請します。許可の取扱いは運輸支局ごとに公示されているため、申請前に管轄支局の公示と様式を確認してください。

レンタカーの許可が不要になる場合はありますか。

道路運送法第80条第1項のただし書きで、借受人が当該自家用自動車の使用者である場合は許可が不要とされています。借受人を使用者として登録するリースがこれにあたります。使用者が自社のままである通常のレンタカーは許可が必要です。

無許可でレンタカーを貸し出すとどうなりますか。

道路運送法第98条第17号により100万円以下の罰金の対象となります。加えて第81条第1項第4号により、6ヶ月以内の期間を定めて自家用自動車の使用を制限または禁止されることがあります。

許可に有効期限や更新はありますか。

許可そのものに更新の定めは置かれていません。ただし氏名・名称・住所、法人役員、貸渡料金、貸渡約款の変更は遅滞なく、配置事務所の名称や所在地の変更・増設はあらかじめ届け出る必要があり、毎年5月31日までに貸渡実績報告書を提出します。

資格や実務経験は必要ですか。

レンタカー許可そのものに、申請者の資格試験や実務経験の要件はありません。求められるのは欠格事由に該当しないことと、書類上の要件を満たすことです。ただし自家用マイクロバスの貸渡しには他車種で2年以上の経営実績が必要で、車両が一定数を超えると整備管理者の選任義務が生じます。

9. まとめ

レンタカー許可は、道路運送法第80条第1項にもとづく許可です。第80条第2項が「類似していると認める場合を除くほか、許可をしなければならない」と定めているとおり、要件を満たせば下りる性質の手続きであり、難関の審査ではありません。押さえるのは、欠格事由に該当しないこと、保険が対人8,000万円・対物200万円・搭乗者500万円以上であること、そして貸渡しの実施計画を要求されたとおりの粒度で書くことです。

スケジュール面では、許可日から登録免許税9万円が1ヶ月以内、車両の登録が4ヶ月以内という2つの期限を意識してください。標準処理期間は沖縄総合事務局の手引きで1ヶ月とされていますが、支局によって異なります。開業日から逆算するなら、車両の調達時期と合わせて管轄支局に確認しておくのが確実です。

そして許可は取って終わりではありません。貸渡簿の2年保存、貸渡証の交付、料金・約款の明示、毎年5月31日の実績報告が、許可条件として事業を続ける限り続きます。これらはすべて日々の貸渡しの記録から生まれるものなので、開業の準備段階で記録の残し方を決めておくことが、いちばん効く先回りになります。

関連記事: レンタカーシステム導入ガイド2026(料金相場と導入の流れ)

本記事は2026年8月時点で公開されている道路運送法(第80条・第81条・第98条)および道路運送法施行規則第52条、北陸信越運輸局富山運輸支局公示第1号「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」(令和4年6月1日)、内閣府沖縄総合事務局「自家用自動車有償貸渡(レンタカー業)許可申請等の手引き」をもとに構成しています。許可の取扱い・提出部数・標準処理期間・様式は運輸局および運輸支局によって異なる場合があり、改正されることもあります。実際の申請にあたっては、管轄の運輸支局が公表する最新の公示と案内をご確認ください。