2026年7月28日公開 / RentGo編集部
貸渡実績報告書の書き方と提出実務|様式1・様式2を毎年5月31日までに出すための集計と提出手順

レンタカーの許可を受けた事業者には、毎年度、前年度の貸渡実績を運輸支局に報告する義務があります。台数の大小は関係なく、1台で副業として運営している事業者にも同じ義務がかかります。ところが実務では、5月末が近づいてから1年分の貸渡簿をさかのぼり、回数と日数を電卓で数え直す、という進め方になりがちです。本記事では、貸渡実績報告書(様式1)と事務所別車種別配置車両数一覧(様式2)に何を書くのか、集計でどこを間違えやすいのか、どこにどう出すのかを、運輸局の一次情報をもとに整理します。
1. 貸渡実績報告書とは(提出義務・対象事業者・提出期限)
レンタカー事業は、道路運送法第80条にもとづき国土交通大臣の許可を受けて行う事業(自家用自動車有償貸渡業)です。許可を受けた事業者は、許可の条件として毎年度の定期報告を求められます。これが貸渡実績報告書です。
提出するのは次の2点で、いずれも同じ期限です。
- 様式1「貸渡実績報告書」: 前年度(4月1日〜3月31日)の貸渡実績を車種区分ごとにまとめたもの
- 様式2「事務所別車種別配置車両数一覧」: 3月31日時点で、どの事務所にどの車種を何台配置していたかをまとめたもの
期限は毎年度5月31日まで、提出先は主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局長あてです(中部運輸局「レンタカー事業を経営する方へ」ほか、2026年7月時点)。ここでいう主たる事務所とは本社(本店)のある事務所を指し、本社で貸渡しを行っていない場合は支店またはこれに準ずる場所が主たる事務所になります。
対象は許可を受けた全事業者です。保有台数や売上の大小による免除はありません。1台から副業として運営している場合も同じ様式で提出します。開業の全体像は レンタカー開業ガイド にまとめています。
2. 報告する項目(様式1・様式2の中身)
2-1. 様式1 貸渡実績報告書
冒頭に事業者名・住所・代表者名・電話番号と対象期間を書き、本体は次の2ブロックに分かれます。
①は貸渡実績で、レンタカー型カーシェアリングも含めたレンタカー事業全体の数字を記載します。車種区分は「乗用車」「マイクロバス」「貨物自動車」「特種用途車」「二輪車」と合計で、区分ごとに次の5項目を埋めます。
- 車両数(両): 3月31日時点の配置車両数
- 延貸渡回数(回): 年度内に貸し出した回数の合計
- 延貸渡日車数(日): 貸し出した日数を車両ごとに合計した数
- 延走行キロ(km): 貸渡中に走行した距離の合計
- 総貸渡料金(円): 年度内の貸渡料金の合計
②はレンタカー型カーシェアリングのみの情報で、①の内数として、運輸支局ごとのデポジット数(箇所)と貸渡車両数(ワンウェイ方式/ワンウェイ方式以外/計)を記載します。ワンウェイ方式とは車検証の備考欄に「ワンウェイ方式」と記載された車両のことです。カーシェアリングを実施していない事業者は、この欄の記載は不要です。
2-2. 様式2 事務所別車種別配置車両数一覧
3月31日現在の保有車両を、事務所名・所在地・管轄運輸支局ごとに並べ、乗用・バス・貨物・特種・二輪の車種別台数と合計を記載します。末尾に事務所数と合計数を書きます。様式1の車両数と数字が合わない状態で出すと確認の連絡が来るため、先に様式2を確定させてから様式1に転記する順番が確実です。
様式は管轄の運輸支局・地方運輸局のホームページからExcelまたはPDFで入手できます。メールで提出する場合は指定のExcel様式を使う必要があるため、毎年ダウンロードし直して最新版を使うのが安全です。
3. 記入時につまずきやすいポイントと集計の考え方
様式そのものは1枚ですが、数字の作り方でつまずく箇所は毎年ほぼ同じです。順に整理します。
3-1. 延貸渡回数と延貸渡日車数を取り違える
様式には計算例が注記されています。車を2台所有していて、A車を3日間・7日間・10日間の計3回、B車を2日間・4日間の計2回貸し出した場合、延貸渡回数は5回(3回+2回)、延貸渡日車数は26日(A車20日+B車6日)になります。回数は貸渡の件数、日車数は日数の積み上げ、という違いです。
3-2. 年度をまたぐ貸渡の扱い
貸渡期間が年度をまたぐ場合は、当年度分と次年度分に分けて集計します。3月30日から4月2日までの貸渡なら、当年度の報告には3月30日と3月31日の2日分だけを計上します。長期・マンスリー貸しを扱っている事業者ほど、この処理を忘れると日車数が実態からずれます。長期貸しの運用は 長期・マンスリーレンタカーの記事 でも触れています。
3-3. 運輸支局ごとに別葉で作成する
様式1は、貸渡を行っている事務所(使用の本拠)を管轄する運輸支局ごとに別葉で作成します。複数県に事務所がある場合、全社の合計を1枚にまとめて出すことはできません。県をまたいで拡大した年は、事務所と車両の対応づけを先に整理しておきます。
3-4. 総貸渡料金と延走行キロの拾い方
総貸渡料金は貸渡簿の料金の合計です。税込か税抜かは統一されていれば問題になりませんが、年度の途中で基準を変えると合計が崩れます。延走行キロは、出発時と返却時のメーター値の差から集計します。返却時のメーター値を貸渡簿に残していないと、後から復元する手段がありません。集計の負担は5月ではなく、日々の記録の粒度で決まります。
なお貸渡簿は、貸渡の状況を適確に記録し、貸渡の終了日から2年間保存することが求められています。報告書の作成は、この貸渡簿がきちんと埋まっていれば集計するだけの作業です。
4. 提出先・提出方法(窓口/郵送/FAX/メール)
提出先は主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局長あてです。方法は次の4つがあります。
- メール: 国土交通省専用の報告先アドレスへ、指定のExcel様式のまま送付する方法。事務所を配置する県ごとに作成し、まとめて送ります。宛先アドレスは運輸局の案内に記載されています
- 窓口持参: 管轄運輸支局の輸送担当窓口へ持ち込む方法
- 郵送: 控えを返してもらうため、返信用封筒の同封と複数部の提出を求める支局があります(沖縄総合事務局の案内では3部提出のうち1部返却)
- FAX: 支局によって受け付けています
メール提出は、窓口に出向く必要も郵送費もかからないため、複数県に事務所がある事業者ほど負担が下がります。支局によっては、メール本文に受領確認を希望する旨を書いておくと、後日受領した旨の返信をもらえる運用もあります。
ただし、宛先アドレス・提出部数・受付方法の運用は運輸局や支局ごとに差があります。提出前に管轄運輸支局のホームページで最新の案内を確認してください。5月下旬は窓口が混み合うため、4月中に集計を終えて5月上旬に出してしまうのが現実的です。
5. 未提出・虚偽記載のリスク
貸渡実績報告は許可の条件にもとづく義務であり、「小規模だから出さなくてよい」という扱いはありません。実務上、未提出が表面化するのは監査や実態調査のタイミングです。行政書士事務所の公表事例では、呼び出し監査で貸渡実績報告書の未作成が発覚し、車両の使用停止処分に至ったケースが報告されています。
処分歴は、その後の事業の選択肢も狭めます。たとえば自家用マイクロバスの貸渡しを新たに始める場合、他車種でのレンタカー事業について2年以上の経営実績があり、かつ直近2年間に貸渡自動車の使用禁止以上の処分を受けていないことが要件とされています。1回の未提出が、数年先の車種拡大を止めることがあるということです。
また、報告書が作れない状態は、その前提である貸渡簿の記録・保存が不十分であることの裏返しでもあります。報告書の提出は帳票整備の健康診断だと考えて、毎年の締め作業として運用に組み込むのが安全です。
6. 日々の予約データから報告値を自動集計する
貸渡実績報告書が重い作業になる理由は、様式が難しいからではありません。1年分の貸渡を、5月になってから数え直しているからです。予約台帳がExcelや紙の場合、延貸渡回数を数え、日数を車両ごとに足し、年度をまたぐ予約だけ手で分割し、走行キロと料金を別の列から拾う、という作業が発生します。台数が増えるほど、この時間は台数に比例して増えていきます。Excel管理の限界については Excel管理の限界 でも整理しています。
予約と貸渡の記録が1か所に揃っていれば、報告値はそこから機械的に導けます。RentGoの 貸渡実績報告書の自動集計・ダウンロード機能 では、レポート画面で年度を選ぶだけで、国土交通省様式(様式1・様式2)に集計値を書き込んだExcelをダウンロードできます。自動で入るのは次の項目です。
- 延貸渡回数: 年度内に開始した貸渡の件数
- 延貸渡日車数: 年度と重なる日数を暦日単位で合計(年度をまたぐ貸渡は当年度分だけを計上)
- 延走行キロ: 年度内に開始した貸渡の走行距離の合計
- 総貸渡料金: 年度内に開始した貸渡の料金の合計
- 車両数: 年度末までに登録され、現在有効になっている車両の台数
年度をまたぐ貸渡の分割という、手作業でもっとも間違えやすい処理をシステム側で行うため、集計ミスの入り込む余地が減ります。ただし現時点の出力は、店舗全体の実績を様式1の乗用車の行にまとめて記入した状態です。マイクロバス・貨物自動車・特種用途車・二輪車を保有している場合や、複数の事務所・運輸支局にまたがって営業している場合は、出力したExcelを開いて車種区分ごと・事務所ごとに振り分けてから提出してください。年度末より後に車両を無効化した場合も、車両数は実態に合わせて直す必要があります。事業者情報や様式2の事務所所在地・管轄運輸支局とあわせて、提出前に必ず内容を確認してください。少人数運営での省力化の考え方は 少人数運営・省人化の記事 にまとめています。
貸渡実績報告書の集計を、年度を選ぶだけに
RentGoなら、日々の予約データから様式1・様式2をExcel形式で自動出力。初期費用0円・月額4,980円〜・30日間無料トライアル、クレジットカード登録不要で試せます。
無料で始める7. よくある質問
貸渡実績報告書の提出期限はいつですか。
前年度(4月1日〜3月31日)の実績について、毎年度5月31日までに提出します。提出先は主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局長あてです。
延貸渡回数と延貸渡日車数の違いは何ですか。
延貸渡回数は貸し出した回数の合計、延貸渡日車数は貸し出した日数を車両ごとに合計した数です。A車を3日間・7日間・10日間の計3回、B車を2日間・4日間の計2回貸した場合、延貸渡回数は5回、延貸渡日車数は26日になります。
貸渡実績がゼロの年度も提出が必要ですか。
許可を受けている限り報告義務は続くため、実績がない年度も0を記載して提出するのが原則です。休業中の取り扱いは管轄運輸支局に確認してください。
貸渡実績報告書はメールで提出できますか。
国土交通省専用の報告先アドレスにExcelデータで提出できます。メールが難しい場合は運輸支局の窓口への持参、郵送、FAXでも提出できます。宛先や部数の運用は運輸局ごとに異なるため、管轄支局の案内を確認してください。
8. まとめ
貸渡実績報告書は、前年度4月1日から3月31日までの実績を、毎年度5月31日までに管轄運輸支局へ提出する定期報告です。様式1で車種区分ごとの車両数・延貸渡回数・延貸渡日車数・延走行キロ・総貸渡料金を、様式2で3月31日時点の事務所別車種別配置車両数を報告します。
つまずくのは様式ではなく集計です。回数と日車数の違い、年度またぎの分割、支局ごとの別葉作成、返却時メーター値の記録漏れ。いずれも5月に頑張って解決する問題ではなく、日々の貸渡簿の付け方で決まります。
予約から貸渡記録までが1か所に揃っていれば、1年分を数え直す作業はなくなり、出力した様式の内訳を実態に合わせて確認するだけで済むようになります。今年の5月に苦労した記憶があるなら、来年の締めが来る前に記録の置き場所を見直すのが、いちばん効く対策です。
本記事は2026年7月時点で公開されている国土交通省・各地方運輸局・運輸支局の案内(中部運輸局「レンタカー事業を経営する方へ」、東北運輸局 様式ダウンロード、沖縄総合事務局「貸渡実績報告書について」、関東運輸局千葉運輸支局のメール提出案内など)をもとに構成しています。提出期限・様式・提出方法・宛先アドレス・提出部数は年度や運輸局・運輸支局によって運用が異なる場合があり、変更されることもあります。実際の提出にあたっては、必ず管轄の運輸支局が公表する最新の様式と案内をご確認ください。