2026年9月30日公開 / RentGo編集部
レンタカーのNOCと免責補償の決め方|大手の相場と、貸渡約款・料金表への書き方

レンタカーを始めるとき、料金表の作成で手が止まりやすいのがNOC(ノンオペレーションチャージ)と免責補償です。大手の料金表を見れば「NOC 2万円・5万円」「免責補償 1,100円/24時間」といった数字は並んでいますが、それぞれが何を免除し、何を免除しないのか、自社はいくらにすればよいのか、約款のどこに書けばよいのかまでは書かれていません。この記事では、4つの用語の関係を整理したうえで、大手の設定を並べ、自社で金額とルールを決める手順と、運輸局の参考約款様式にもとづく書き方をまとめます。
1. NOC・免責額・免責補償・NOC補償の関係
事故が起きたとき、利用者が事業者に支払う可能性のあるお金は大きく2つです。1つは保険でカバーされない修理代などの自己負担分(免責額)、もう1つは車が使えない期間の営業補償(NOC)です。この2つそれぞれに、事前に払っておけば免除される任意の補償が付きます。
| 用語 | 中身 | お金の向き |
|---|---|---|
| 免責額 | 対物・車両事故で保険から支払われない自己負担額。1事故5万円が一般的 | 事故時に利用者→事業者 |
| 免責補償(CDW) | 免責額の支払いを免除する任意の制度 | 貸出時に利用者→事業者(日額) |
| NOC | 事故・汚損などで修理や清掃が必要になった期間の営業補償の一部 | 事故時に利用者→事業者 |
| NOC補償 | NOCの支払いを免除する任意の制度 | 貸出時に利用者→事業者(日額) |
ここで押さえるべきは、免責補償に入ってもNOCは免除されないという点です。大手各社も「免責補償コースに加入の場合でもNOCは負担いただきます」と明記しています。利用者が最も誤解しやすいところなので、ルールを作る側が最初に線を引いておく必要があります。事業者自身が備える休車補償や保険全体の設計はレンタカー保険の選び方で解説しています。
2. 大手はいくらに設定しているか
公開されている大手2社の設定を並べます(2026年9月時点、各社公式サイトより。料金は税込)。
| 項目 | トヨタレンタカー | タイムズカーレンタル |
|---|---|---|
| 免責額(対物・車両) | 各5万円 | 各5万円(マイクロバス・普通貨物車等は10万円) |
| 免責補償料 | 1,100円/24時間(1・2ナンバー車は2,200円) | 1,100〜2,200円/24時間(車両クラス別) |
| NOCまで免除する上位プラン | 安心Wプラン 1,650円/24時間(免責補償込み。タイヤ損傷等の補償付き) | 安心補償コース 免責補償料に1,100円/24時間を加算(ロードサービス等付き) |
| NOC(自走して返却できた場合) | 2万円 | 2万円・3万円・5万円(車両クラス別) |
| NOC(自走できなかった場合) | 5万円 | 5万円・7万円・10万円(車両クラス別) |
共通しているのは、免責額5万円、免責補償は1日1,000円台、NOCは「自走できたか」で2段階という骨格です。違いは細かさで、車両クラスで金額を分けるかどうか、上位プランにタイヤやロードサービスまで含めるかどうかに各社の考え方が出ます。
3. 自社の金額を決める5つの手順
3-1. 保険の免責金額から免責額を決める
利用者に負担してもらう免責額は、自社が加入している自動車保険の対物・車両の免責金額に揃えるのが基本です。保険で5万円の免責を設定しているなら、利用者の免責額も5万円にします。これより高くすると過大な請求に、低くすると差額を自社でかぶることになります。
3-2. NOCは2段階から始める
NOCは、損害の程度や修理期間にかかわらず定額で受け取る営業補償の一部です。実際の休業損失を毎回計算しないために定額にしている、という位置づけを忘れないでください。台数が少ないうちは「自走して返却できた場合 2万円/できなかった場合 5万円」の2段階で十分です。高額車やキャンピングカーのように1日の単価が高い車両を扱う場合に限り、クラス別の金額を追加します。
3-3. 補償オプションは2段構えにする
「免責補償のみ」と「免責補償+NOC補償」の2つを用意するのが一般的です。大手の例では上位プランは免責補償料に500〜1,100円程度を上乗せした水準で、ここにタイヤ損傷やロードサービスを含めて差をつけています。NOC補償を単独で売るより、上位プランとしてまとめたほうが利用者の選択が単純になります。
3-4. 長期利用の上限日数を決める
日額のまま1か月貸すと、補償料だけで数万円になります。ニッポンレンタカーのNOC補償制度は「1ヶ月までの貸渡しについての加入料金は15日間で打ち切り計算」としています。マンスリーやウィークリーの料金を設定する場合は、補償料の打ち切り日数も同時に決めておきます。
3-5. 金額の根拠をメモに残す
NOCは利用者と揉めやすい費用です。「この車両クラスの平均的な修理日数と1日あたりの売上から見て、この金額は営業損失の一部にとどまる」と説明できる根拠を社内に残しておきます。実際の損失を大きく超える金額を定額で請求する設計は、消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)との関係で問題になりえます。相場から大きく外れる金額を設定する場合は、専門家に確認してください。
4. 貸渡約款と料金表への書き方
北海道運輸局が公開している「レンタカー貸渡約款様式(参考様式)」は、NOCと補償について次のように組み立てられています。自社で約款を作るときの骨格として使えます。
- 第28条第1項:利用者が第三者または事業者に与えた損害は利用者が賠償する(事業者の責による場合を除く)
- 第28条第2項:事故・盗難・利用者の責による故障・汚損・臭気などで車両を使えないことによる損害は、料金表に定めるところにより利用者が支払う(NOCの根拠条項)
- 第29条第1項:対人・対物・車両・搭乗者の補償限度額と、対物・車両の免責金額を記載する
- 第29条第2項・第3項:保険約款・補償制度の免責事由に当たる場合は支払われず、支払われない損害や限度額を超える損害は利用者の負担とする
- 第29条第5項:損害保険の保険料相当額と、事業者の定める補償制度の加入料相当額は貸渡料金に含む
参考様式の注意書きには、NOCを設定しない事業者は第28条第2項を削除すること、設定する場合は具体的な金額等を貸渡料金表に記載することが明記されています。つまり、約款には「NOCを請求する」という根拠だけを書き、金額は料金表に置くのが基本の分担です。金額を約款本文に書き込むと、改定のたびに約款の版を上げることになります。
任意の免責補償やNOC補償も、料金表に「料金・免除される範囲・加入できる条件(貸出手続き後の加入不可など)」をセットで載せます。約款の全体構成や許可申請時の扱いはレンタカー事業の許可申請もあわせて確認してください。
5. 補償の適用外にするケース
免責補償やNOC補償に入っていても補償しないケースを、約款と料金表の両方に書いておきます。大手の公開情報で共通して挙げられているのは次のとおりです。
- 事故現場から警察・事業者への連絡をしなかった場合
- 貸出時に申し出た運転者以外が運転した場合
- 無免許運転、飲酒運転、薬物使用による事故
- 借受期間を無断で延長して使用した場合
- 事業者の承諾なく相手方と示談した場合
- キーを付けたままの駐車による盗難、キーの紛失、車内の汚損・臭気(禁煙車での喫煙を含む)、燃料の誤給油
ニッポンレンタカーのように、事業者の責によらない盗難・汚損・臭気によるNOCはNOC補償の対象外とする設計もあります。汚損や喫煙によるNOCを補償の対象に含めるかどうかは、事業者ごとに判断が分かれるところなので、自社のルールとして明文化してください。
6. 予約時の案内と、事故時の請求
6-1. 予約時に選んでもらう
補償オプションは、予約の段階で選択肢として見せます。店頭で初めて説明すると、急いでいる利用者ほど内容を理解しないまま断るか、なんとなく入ることになり、事故後の「聞いていない」につながります。大手でも「貸渡手続後の加入、解約はできません」とする例があり、加入のタイミングを貸出時までに限定しておくのが一般的です。
6-2. 貸出時に説明と同意を記録する
貸出時には、選んだ補償で免除されるもの、されないもの(加入していない補償の金額)、適用外になるケースを口頭で伝え、約款への同意を書面か電子署名で残します。同意の記録は、事故後に請求する段階で唯一の根拠になります。
6-3. 事故時は免責額とNOCを分けて請求する
請求書では、免責額とNOCを別の行に分けます。タイムズカーレンタルはNOCを「不課税」と明示しており、国税庁の消費税法基本通達5-2-5でも、資産に加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金は資産の譲渡等の対価に該当しないとされています。一方、免責補償料やNOC補償料は貸出時に受け取る料金で、大手は税込で表示しています。会計処理を分けるためにも、請求書の行を分けておくと後で困りません。自社の取扱いは税理士に確認してください。
予約キャンセル料の決め方も考え方は同じで、根拠となる約款の条項と、料金表の金額を分けて持ちます。キャンセル規定はノーショー・キャンセル対策で解説しています。
7. RentGoで補償オプションと約款を運用する
RentGoでは、免責補償や上位の補償プランを有料オプションとして登録し、予約時にお客様に選んでもらえます。オプションの料金は日額と定額から選べるので、24時間単位の補償料をそのまま設定できます。電話や店頭で受けた予約でも、管理画面でオプションを選べば合計金額を自動で計算します。
貸渡約款の文面を登録しておくと、貸出時に店頭のタブレットやスマートフォンで約款を提示し、同意チェックと借受人の手書き署名を取得できます。締結時点の約款全文と版番号は固定して保存されるので、あとからNOCの条項を改定しても、過去の契約でどの版に同意したかをたどれます。
補償オプションの選択から約款の同意まで、1つの流れに
RentGoなら、補償オプションを予約時に選んでもらい、貸出時に約款への電子同意と署名を残せます。初期費用0円・月額4,980円〜・予約手数料0%、30日間無料トライアルで試せます。月単位の契約なのでいつでも解約できます。
無料で始める車両登録・店舗設定まではクレジットカードなしで試せます。予約受付を始めるときにクレジットカードを登録すると30日間の無料トライアルが始まり、期間終了後は自動的に有料プランへ移行します。
8. よくある質問
NOCは必ず設定しなければいけませんか。
必須ではありません。運輸局の参考約款様式でも、NOCを設定しない事業者はNOCの条項(第28条第2項)を削除するよう案内されています。設定する場合は、具体的な金額を貸渡料金表に記載します。
免責補償に加入したお客様からもNOCを受け取れますか。
受け取れます。免責補償は対物・車両の免責額(自己負担額)を免除する制度で、NOCは修理・清掃期間中の営業補償なので別物です。大手でも、免責補償だけの加入ではNOCは免除されず、NOCまで免除するには上位の補償プランへの加入が必要という設計が一般的です。
NOCの金額はいくらが相場ですか。
自走して予定の営業所へ返却できた場合で2万円、自走できなかった場合で5万円という2段階が広く使われています。大手の中には、車両クラスに応じて自走可能で2万〜5万円、自走不能で5万〜10万円と段階を分けている例もあります(2026年9月時点)。
NOCに消費税はかかりますか。
大手の中にはNOCを不課税と明示している事業者があります。国税庁の消費税法基本通達5-2-5では、資産に加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金は資産の譲渡等の対価に該当しないとされています。一方、免責補償料やNOC補償料は税込で表示されるのが一般的です。自社の取扱いは税理士に確認してください。
小規模な事業者でも免責補償を用意したほうがよいですか。
用意したほうが、事故後の回収とトラブルの両面で楽になります。免責補償がないと、事故のたびに免責額の5万円などを利用者に請求することになり、未回収や揉めごとの原因になります。1日あたり1,000円前後の任意オプションとして用意し、予約時に選んでもらうのが一般的です。
9. まとめ
NOCと免責補償のルールは、免責額(保険の免責金額に揃える)、NOC(自走可否で2段階)、補償オプション(免責補償と上位プランの2段構え)の3つを決めれば骨格ができます。大手の水準は、免責額5万円、免責補償1日1,000円台、NOC 2万円・5万円です。
書き方は、約款に請求の根拠と適用外事由、料金表に具体的な金額という分担です。そして、免責補償に入ってもNOCは免除されないことを、予約時と貸出時の2回伝え、同意を記録に残してください。トラブルの大半は金額ではなく、説明の抜けから起きます。
本記事の各社の金額・補償内容は、2026年9月時点で各社公式サイトに掲載されている情報をもとにしています。約款の条項番号は北海道運輸局が公開する「レンタカー貸渡約款様式(参考様式)」によります。NOC・免責補償の金額や適用範囲、税務上の取扱いは事業者・契約内容によって異なります。実際の約款・料金表の作成にあたっては、管轄の運輸支局、保険会社・代理店、税理士等にご確認ください。RentGoの機能・料金は2026年9月時点のものです。